はらり、はらりと色付いた葉が地面に吸い込まれるように落ちてゆく。
空は青くそして高く、風は冷たさを含んだ晩秋、不動峰では文化祭を迎えていた。
学校全体が活気に溢れ、どこからとも無く呼び込みの声が聞こえてくる。
あとで食いモンでも制覇してみようか、二人で。
そんなことを思いながら出来るだけ音を立てないようにドアを開けた瞬間固まった。
「―――京介? それどーし…」
「何も聞くなっ」
「……………」
ぶすくれた顔をしながら壁に寄りかかる彼。
低くうなり声を発しならが俺を全身で威嚇する京介――こと内村京介。
同じテニス部員であるとともに名実共に俺の恋人でもある。
つれないけど。
彼のトレードマークでもある帽子に付属品がついているのだから問いただしたくなるというもの。
しかも着ている服は上が黒いハイネックのノースリーブ。
下が同じ黒でGパン生地のハーフパンツ。
ハイソックスも黒で揃えられていて…ごめん、可愛いんですけど。
「………どーみても黒猫がイメージだよなぁ?
あ、取れない。起用につけられてなぁ〜」
「さわんなっ!」
「ヤダ。あ、触り心地がいいなぁこれ…」
「ヤメロっ!」
「えー。せっかくの猫耳なのに? もったいない」
「俺はイヤなんだよっ!」
「―――じゃぁなんでこれ付けてるのか教えてくれたら止めるよ」
「…………」
「黙秘無しね。教えてくれるまで触ってるから」
わざと耳元で囁けばビクリと体が反応した。
相変わらず耳が弱いなぁ。
うわぁーもう顔が真っ赤。
「…おい。ソレ、やめろって何度も言ってるだろっ!」
「うん。何度も聞いてるね」
怒気をはらんだ声にいけしゃあしゃあと切り返す。
ちょっと目が潤んでるからけっこうヤバイんだけど。
「そーいうお前こそなんで着物なんか着てるんだよっ」
「あ〜うちのクラスお好み焼き屋なんだけどさ、男子はこれが制服なんだ。女子は袴。
さっきまでちゃんと店番してたんだぞ」
そう言った瞬間、しかめっ面をした京介。
最近は表情が豊かになってきたので分かりやすくていい。
「この後さ、二人で屋台の食いモン制覇しようと思ってたんだけどどーする?
その姿見られるのイヤだろ?」
「他の奴らにみられたくねぇ…。
森にはここにくるときに見られたけど…」
「ある程度の食いモンは買ってきたし、ここにいる?」
耳まで真っ赤にしながら頷く京介はやばいくらい可愛いくて仕方ない。
しかも着物のすそを握るのは反則だぞ?
「りょーかい。じゃぁどれから食べる?
オススメはたこ焼きかな。お腹空いてるだろ?」
「お好み焼きはねーの?」
「うちのクラスのとこから持ってきたからあるよ」
まっ、時間はたっぷりあるし今日は屋上には誰も来ないだろう。
さっき鍵かけてきちゃったから。
裏工作を頼んでおいた桜井には何かあったらメールくれるように頼んであるから大丈夫。
今日は天気もいいし、風もないから暖かいから気をつけてれば風邪は引かないだろう。
―――たまには…な?