ゆっくりと、今までのことを思い出してみる。
今、ここで深い眠りについてる樺地を眺めながら。
樺地の誕生日を祝いたくて、二人きりになりたくてホテルに宿泊した。
それも俺が一番気にいっているホテルのスイートに。
宿泊したのは2日目の夕方から。
わざわざ樺地を呼び出して一緒に泊まらせて。
「で、料理を部屋に運ばせて…」
他愛無い話とかテニスの話とか、普段は喋らない樺地もお酒が入ったせいもあっていつになく話が弾んだ。
食べ終わってあとはソファーに座りながら話続けてたよな。
樺地が作り始めたボトルシップの話とか。
「にしても…さりげなく俺を抱き上げて自分の上に座らせるなよ、樺地ぃ」
ふいに訪れた沈黙の時間。
ちょうど時計のベルが鳴り出して、どちらからともなくキスを、した。
口付けだけで気持ちよくて溶けちゃいそうで。
「いつのまにあんなに上手くなったんだよ………樺地」
遠慮がちに触れてくる大きな手が愛しかった。
いくどとなく触れ合うその肌が、そして見つめられるたびに捕らえられるその瞳が。
全てが愛しくて、大好きなんだと、愛しているのだと…。
「だからって…なぁ」
樺地の不意打ちに俺はやられたんだ。
じっと見つめられていたと思ったら急に微笑んで、そのまま唇の形をなぞるように唇を奪われて。
「すっげー気持ちいいし…」
腰抜かしそうになる直前に樺地の体が崩れおちたのには驚いた。
そういえば前…言ってたよな。
―――お酒飲めないんです。って。
「まったく…デザートに入ってるお酒だけで酔うなよ」
思い出すだけで顔が火照り、体が疼く。
頭の中が真っ白になって、腰ががくがくと震えて。
それでもなお、絡める舌は俺を放さなくて。
呼吸を忘れるほどに、強く求められた。
「………キスだけじゃ足んねーのに」
強烈過ぎるほどのキスに初めて溺れた。
こんなにも強く求められたことは今までなかったのに。
理性がとんだ樺地は今までにないくらい積極的で。
俺はただ与えられる快楽に呑まれないように必死にしがみついているだけで。
「早く目、覚ませよ。なぁ…樺地?」