少し長引いたLHRが終わると同時に、あまり鳴ることのない携帯から
メロディーが流れた。
それはメールが受信したときに鳴る曲で、いつだったかアイツが好きだと
呟いたヤツだ。
+++ 続く風 +++
慣れた手つきで携帯を操作してメールを開く。
メールにあった文章は『樺地です』だけ。
少しだけ苦笑いした。
なんだかアイツらしくて。
ムービーを見ればトクン―――と胸が高鳴った。
青い空を背景に枝垂桜の古木から花弁が散って。
さらさらと音がしてくるような世界がそこには映し出されている。
そして最後には『ここで逢いたいです』と微かに微笑む樺地の姿が。
瞬時に顔が赤くなっる。
まれに無意識で微笑む樺地を見るとどうしようもない衝動に駆られるのだ。
言葉に出来ない何かが、俺の中を駆け巡る。
「―――っ!」
必死に手で口を押さえて、零れそうになった言葉を飲み込む。
クラスメイトに気がつかれないようにそっと深呼吸を。
「ばーか」
落ち着いたころにでた悪態に苦笑いしつつも、自然と顔がほころんで満たされていることに気がつく。
たったこれだけのことでドキドキして凄く嬉しくて。
そして逢いたくなる。
なにより樺地から誘ってくれたのだ。
こんなこと、滅多に無い。
教室から学園の端にある目的地まで普通に歩って15分程度。
歩く速度もいつもより早くなってゆく。
少しでも長い時間を共に過ごしたくて。
暖かな日差しの中で、桜を見つめる樺地に出会うまであと少し―――